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家族で訪ねた台湾──悠久の時間にふれる旅

今年のゴールデンウィーク、妻と小学1年生の長男とともに台湾を訪れました。
羽田から桃園空港までは約4時間。東京からそれほど離れていないのに、どこか時間の流れが違うような、歴史と文化が静かに息づく場所でした。
旅の初日は、台北の旧市街・迪化街からスタート。
乾物や漢方、布問屋が軒を連ねるこの商いの街では、お土産に名物のカラスミを購入しました。日本のものに比べると価格はかなり手頃でありながら、品質も上々。塩気と旨味のバランスがよく、帰国後の楽しみがひとつ増えました。
またこの迪化街では、妻の希望で霞海城隍廟を訪問。独身時代に縁結びをお願いしたという神様に、今回は「結婚しました」というご報告がしたかったそうです。私は初めての参拝でしたが、その想いに静かに手を合わせました。
2日目は、ガイドさんの案内で郊外へ足を延ばしました。
十分では、家族3人で願いを書いた天燈(ランタン)を空へ放ちました。
曇り空の下、ゆっくりと空高く昇っていく灯りに、それぞれの想いが遠く届くような気持ちになりました。線路沿いのどこか懐かしい町並みとあいまって、忘れがたい時間となりました。
その後訪れた国立故宮博物院では、「肉形石」や「翠玉白菜」といった名品を間近に見ることができました。
北京の紫禁城から台湾に運ばれ、動乱のなかで守り抜かれてきた文化財の数々。展示品の背景にある人々の想いを知ることで、単なる美術品ではなく、「歴史を運び、守る」営みに深い感銘を受けました。
3日目には、中正紀念堂へ。
ここは国民党の指導者であった蒋介石(本名:蒋中正)を顕彰する巨大な施設です。
広大な広場に堂々とそびえる堂やアーチ、厳粛な衛兵交代式は、かつての台湾の権威や秩序を今に伝えており、前日に見た博物館以上に圧倒されたほどです。
旅のなかでは、台湾の近現代史に触れる機会も多くありました。
1895年の日清戦争に始まり、50年間にわたる日本の統治、そして日本の降伏を経て中国へ返還された台湾。
その後、国共内戦で敗れた蒋介石率いる国民党が台湾へ移り、長く続いた一党独裁体制。
しかしその流れの中で、蒋経国は血縁にこだわらず、台湾出身の李登輝氏に政権を引き継ぎました。
この決断によって、台湾は国民党の一党支配体制から、複数政党による民主主義国家へと大きく舵を切ることになります。李登輝元総統が築いたこの政治的転換は、まさに台湾の未来を切り開く偉業だったと感じました。
そんなことを思いながら静かに帰りの飛行機で目を閉じました。
written by 代表 平川将
