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治療と仕事の両立支援を検討する際のポイント

 労働者の約3人に1人が何らかの疾病を抱えながら働いているとされます。また職場において労働力の高齢化が進むことに伴い、今後、労働者が治療と仕事を両立していくことのできる環境の整備がより一層求められることになります。そこで、今回は治療と仕事の両立支援を検討する際のポイントをとり上げます。

[1]両立支援の現状
 厚生労働省が公表している「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」によると、傷病(がん、糖尿病等の私傷病)を抱えた何らかの配慮を必要とする労働者に対して、治療と仕事を両立できるような取組みが行われている事業所の割合は41.1%となっています。
 その取組内容(複数回答)をみると、「通院や体調等の状況に合わせた配慮、措置の検討(柔軟な労働時間の設定、仕事内容の調整等)」が91.1%、「両立支援に関する制度の整備(年次有給休暇以外の休暇制度、勤務制度等)」が36.0%、「相談窓口等の明確化」が32.1%と続いています。

[2]勤務制度・休暇制度を検討する際の選択肢
 このように両立支援の取組としては、柔軟な勤務制度や特別休暇などの制度の導入が多く行われています。以下では、これらの具体的な選択肢について見ていきましょう。

  1. 勤務制度
    • 時差出勤制度
       通院のためや通勤による身体の負担を軽減するために始業・終業時刻を変更することです。時差出勤の場合、1日の所定労働時間に変更がないため、短時間勤務制度と異なり、給与が減額とならないというメリットがあります。
    • 短時間勤務制度
       フルタイム勤務が難しい場合、所定労働時間を短くして引き続き働くことができるようにするものです。
    • テレワーク
       通勤による身体の負担を軽減し、在宅勤務などリモートで働いてもらうというものです。
  2. 休暇制度
    • 時間単位の年次有給休暇
       年次有給休暇は1日単位で取得することを原則としていますが、労使協定を締結することで、年5日を上限として、1時間単位で取得することができるようになります。これにより、通院等で必要な時間を年次有給休暇を活用することができます。
    • 積立年次有給休暇
       年次有給休暇は付与日から2年が経過すると請求権がなくなりますが、この請求権がなくなった年次有給休暇を積み立てておき、病気治療による通院などの場合に利用できる制度を会社独自に設けておくものです。
    • 病気休暇
       会社独自の制度として、入院治療や通院のために利用できる休暇制度を設けておくものです。

 こうした勤務制度や休暇制度については、運用方法と併せて管理職が制度を理解するための研修も必要になります。実際に運用していくまでには時間がかかることから、早めに検討を始めるとよいでしょう。

■参考リンク
厚生労働省「治療と仕事の両立について
厚生労働省「調査の概要

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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