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算定基礎届作成前に確認しておきたい社会保険の被保険者区分

 6月に入り、労働保険の年度更新の申告書が届いた。労働保険の年度更新については、算定基礎賃金集計表の作成まで済んでおり、スムーズに進められそうであるため、木戸部長は算定基礎届のことについて社労士に確認することとした。

 4月からお忙しいかと思いますが、お仕事の状況いかがですか。

 はい、4月は新入社員の入社がありましたのでバタバタしましたが、労働保険の年度更新も算定基礎賃金集計表まで作成できました。あとは先日届いた申告書に記入して、経理に納付書を渡すだけです。ただ、実は社会保険の算定基礎について気にかかっていることがあります。

 どのようなことでしょうか。

 はい。当社は昨年10月の社会保険の適用拡大で特定適用事業所に該当したため、これまで加入していなかった週20時間以上で働くパートさんも社会保険に加入することになりました。この影響で、算定基礎届を作成する被保険者数が多くなっています。

 なるほど。確かに被保険者数が増えましたね。

 正社員は月給者なので、休職中の人等を除き、スムーズに進められそうですが、パートさんは時給ですので、支給額も出勤日数も月によってばらつきがあります。給与計算ソフトから算定基礎届が作成できますが、内容をしっかり確認しなければならないと思っています。

 そうですね。ところで昨年10月以降に社会保険に加入したパートさんで、その後、労働時間が長くなった方はいますか。

 はい、1名います。今年の4月から、お子さんが中学生になったので、1日5時間だった労働時間を7時間に変更した方です。週でみると25時間から35時間に延びました。

 ありがとうございます。先ほどの私の質問ですが、社会保険の被保険者の区分には「一般の被保険者」と「短時間労働者」の2つがあり、年金事務所ではこの区分の情報を管理していることから、お尋ねしたものです。4月の時点で、区分変更の届出はされましたか。

 区分変更の届出ですか?おそらく出していません。届出をしないと何か問題がありますか?その一般の被保険者と短時間労働者で何か違いがあるのですか?

 健康保険証が変わったり、病院での自己負担の割合が変わったりするということはありませんが、先ほどお話に出た算定基礎届や月額変更届を提出するときには影響があります。一般の被保険者は、算定基礎届を作成するときには、4月から6月の支払基礎日数が17日以上の月で算定基礎届を作成しますよね。また、月額変更届を作成するときには、固定的賃金の変動から3ヶ月とも支払基礎日数が17日以上であることが要件の一つになっているかと思います。

 はい、そうですね。

 短時間労働者は、昨年10月の社会保険の適用拡大で被保険者となった方、つまり、御社では週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の方になります。この短時間労働者は出勤日数が少ないこともあるため、算定基礎届や月額変更届を作成するときには、支払基礎日数が11日以上で判断することになります。

 なるほど。確かに1日7時間で週3日勤務のパートさんもいますね。そうなると、4月に労働時間を延ばしたパートさんは短時間労働者から一般被保険者に変更となる手続きが必要ということですね。

 はい。「健康保険・厚生年金保険 被保険者区分変更届」という書類で手続きを進めてください。この届出には変更年月日を記入する欄があるので、実際に所定労働時間を変更した日を記入してくださいね。

 承知しました。まずは届出をした後で、一人ひとりの内容を確認していきたいと思います。

>>次回に続く


 パートタイマーで、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数がいわゆる正社員の4分の3以上である一般被保険者は、短時間就労者として扱われ、算定基礎届を作成する際に区別されます。短時間就労者は、4月から6月のいずれの月も支払基礎日数が17日未満の場合、15日以上の月で算定基礎届を作成します。
 一方で、短時間労働者については、17日および15日という判断は行わずに、始めから11日以上の月で算定基礎届を作成することになっています。このような違いをまずは整理してから、算定基礎届の作成を行う必要があります。

■参考リンク
日本年金機構「一般被保険者が短時間労働者になったとき/短時間労働者が一般被保険者になったとき
日本年金機構「算定基礎届の記入・提出ガイドブック(令和5年度)(PDF)

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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