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正式決定された「こども未来戦略方針」と企業への影響

 2023年6月13日に、第6回こども未来戦略会議が行われ、「こども未来戦略方針」が閣議決定されました。今後、企業の育児支援制度にも影響があることから、この内容をとり上げます。

[1]こども・子育て政策の強化の3つの基本理念
 今後、こども・子育て政策の強化をしていく上で、次の3つの基本理念が掲げられています。

  1. 若い世代の所得を増やす
  2. 社会全体の構造・意識を変える
  3. 全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する

[2]加速化プランの内容と企業への影響
 この基本理念をふえまて、今後3年間の集中的な取組みを進める「加速化プラン」の中で、具体的な施策が示されています。ここでは、今回示された施策のうち企業が特に注目したい内容をとり上げます。

  1. いわゆる「年収の壁(106 万円/130 万円)」への対応
     いわゆる 106 万円・130 万円の壁を意識せずに働くことが可能になるように、短時間労働者への社会保険の適用拡大、最低賃金の引上げに取り組むとしています。併せて、従業員の年収が 106 万円の壁を超えても手取り収入が逆転しないよう、労働時間の延長や賃上げに取り組む企業に対して、必要な費用を補助するなどの支援強化パッケージを本年中に決定した上で実行し、さらに制度の見直しに取り組むとしています。
  2. 男性の育児休業の取得促進
     2025 年3月末で失効する次世代育成支援対策推進法を改正し、その期限を延長した上で、一般事業主行動計画について、数値目標の設定や、PDCA サイクルの確立を法律上の仕組みとして位置付けるとしています。そして、この一般事業主行動計画に、男性の育児休業取得を含めた育児参加や育児休業からの円滑な職場復帰支援、育児のための時間帯や勤務地への配慮等に関する行動が盛り込まれる予定です。
     また、2023 年4月1日より、従業員数が1,000 人を超える企業に対し、男性の育児休業の取得率の公表を義務付けていますが、この公表制度の拡充を検討し、有価証券報告書における開示を進めるとしています。
  3. 育児休業給付の給付率引上げ
     育児休業を取得し、一定の要件を満たした場合には、育児休業中の所得補償として、雇用保険から育児休業給付金が従業員に支給されます。現在の育児休業給付の給付率は支給開始から180日目までが67%、181日目以降は50%とされていますが、今後、支給開始から28日間の給付率を80%に引上げるとしています。
     80%の給付率は、育児休業給付金が非課税であることや、育児休業中には社会保険料が免除されることを考えると、育児休業取得前の手取りの100%相当になると想定されています。
  4. 短時間勤務等の柔軟な働き方の拡充
     現在、育児・介護休業法では、所定労働時間を原則6 時間とすることができる育児短時間勤務制度を設け、その対象を3 歳未満の子どもを養育する従業員としています。これに関連し、今後、子どもが3歳以降小学校就学前までの場合において、短時間勤務制度、テレワークの制度、フレックスタイムを含む出社・退社時刻の調整ができる制度、休暇制度など柔軟な働き方について、企業が複数の制度を選択して措置を行い、従業員が選択できる制度の創設が検討されることになっています。
     併せて、男女ともに一定時間以上の育児短時間勤務をした場合に、手取りが変わることなく育児・家事を分担できるよう、子どもが2歳未満の期間に、育児短時間勤務を選択したことに伴う賃金の低下を補い、育児短時間勤務の活用を促すための給付が創設されることになっています。

 法令改正が必要な内容については、今後、厚生労働省内の審議会で検討が行われます。企業の育児支援制度にも影響が出てくることから、今後の動きに注目しましょう。

■参考リンク
内閣官房「こども未来戦略方針(令和5年6月13日閣議決定)

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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