公開日: 2023年01月03日

常時雇用労働者の定義・カウント方法

文書作成日:2023/01/03

常時雇用労働者の定義・カウント方法

 就業規則の届出については常時使用する労働者の数が10人以上の事業場、衛生委員会の開催は常時使用する労働者の数が50人以上の事業場といったように、労働者の人数を基準に法令上の義務が定められているものがあります。そこで今回は、常時雇用する労働者の定義・カウント方法を確認します。

[1]労働基準法
 まず「労働者」の定義を確認すると、労働基準法では第9条で、職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者をいう、としています。ここには日雇労働者やパートタイマー等も含まれます。
 これを踏まえ「常時使用する」については、企業の通常の状況により判断するとされており、臨時的に雇い入れた場合や臨時的に欠員を生じた場合は労働者の数に変動が生じたものとして取り扱う必要はないものの、パートタイマー・アルバイトであっても臨時的な雇入れでなければ、常時使用する労働者数に含める必要があるとされています。

[2]労働安全衛生法
 労働安全衛生法の対象となる労働者は、原則、労働基準法と同じですが、労働安全衛生法が、職場で働くすべての労働者の安全を守る法律であることから、派遣労働者を受け入れている事業場は、派遣労働者も含めて常時雇用する労働者数を算出します。例えば事業場の労働者の数が45人で、派遣労働者が5人いる場合、合計50人となり、衛生管理者の選任等が必要になります。

[3]障害者雇用
 現在、常時雇用する労働者が43.5人以上の事業主(企業)は、障害者を1人以上雇用することが義務付けられています。この常時雇用する労働者は、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者であって、1年を超えて雇用される人(見込みを含む)が対象となります。
 計算方法は、週所定労働時間が30時間以上の労働者については1人としてカウントし、20時間以上30時間未満の労働者については1人を0.5人としてカウントします。

[4]次世代育成支援対策推進法等
 次世代育成支援対策推進法や女性活躍推進法では、常時雇用する労働者が101人以上の事業主(企業)に対して、一般事業主行動計画の策定・届出を義務付けています。
 この常時雇用する労働者には、期間の定めなく雇用される人、過去1年間に引き続き雇用されている人または雇入れ時から1年以上雇用されると見込まれる人が含まれます。

 それぞれの内容によって、常時雇用する労働者の定義が異なり、またカウントの範囲が事業場の場合と事業主(企業単位)の場合があります。それぞれ正しく労働者数が算出できているか、この機会に確認しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「事業場の規模を判断するときの「常時使用する労働者の数」はどのように数えるのでしょうか。」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09985.html
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「令和4年度障害者雇用納付金制度「ご案内」」
https://www.jeed.go.jp/disability/q2k4vk000002t1yo-att/q2k4vk000003p1yn.pdf
厚生労働省「次世代育成支援対策推進法関係パンフレット」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/pamphlet/26.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

2023年1月から変更となる協会けんぽの申請様式2022/12/27
12月2日より拡充されたキャリアアップ助成金2022/12/20
12月以降の雇用調整助成金と小学校休業等対応助成金の内容2022/12/13
マイナンバーカードで可能になった雇用保険の失業認定手続2022/12/06
定期健康診断以外の健康診断が必要となる労働者2022/11/29
企業の年間休日数の平均は減少し107.0日に2022/11/22
年次有給休暇の8割要件を計算する際のポイント2022/11/15
12月より変わる事務所の照度とパソコン作業等を行う際の作業管理のポイント2022/11/08
協会けんぽの被扶養者資格の再確認2022/11/01
今年も11月に実施される過重労働解消キャンペーン2022/10/25
年休の計画的付与制度と運用時の留意点2022/10/18
健康診断実施後のフォローと監督署によく指摘される事項2022/10/11
就業規則を変更した際の届出に係る適切な手続き2022/10/04
2022年度の労基署による不払い残業代の是正指導 約65億円2022/09/27
30円以上の大幅引上げとなる2022年度の最低賃金2022/09/20
2022年10月より対応が必要な人事労務に関する各種改正点2022/09/13
深夜業に従事する従業員に実施が必要な健康診断2022/09/06
2021年度に13.97%まで上昇した男性の育児休業取得率2022/08/30
アルコールチェックの義務化と直行・直帰時等の取扱い2022/08/23
改めて確認したい管理監督者の労働時間の把握義務と割増賃金の支払い2022/08/16
短時間労働者の社会保険加入における賃金の考え方2022/08/09
労働者301人以上の企業が対象になった男女の賃金の差異の情報公表2022/08/02
増える精神障害の労災請求件数 求められるハラスメント対策2022/07/26
産後パパ育休の申出を1ヶ月前までとするための労使協定2022/07/19
4社に1社が70歳まで働ける制度を導入2022/07/12
骨太の方針2022に示された人事労務に関するトピックス2022/07/05
増加に転じた労災の死亡者数と休業4日以上の死傷者数2022/06/28
労働者死傷病報告を提出しなければならないケースとは2022/06/21
8月頃に社会保険適用拡大により年金事務所から届く通知とは2022/06/14
高齢者が安心・安全に働ける職場環境づくりを支援する補助金2022/06/07
スマホで年金額試算ができる「公的年金シミュレーター」の試験運用を開始2022/05/31
2023年4月より中小企業でも1ヶ月60時間超の割増賃金率50%以上に2022/05/24
新型コロナによる休業により労働時間が短くなり退職した場合は「特定理由離職者」に2022/05/17
今年度の地方労働行政運営方針が策定されました2022/05/10
セルフケアとラインケア、企業に求められるメンタルヘルス対策2022/05/03
今年も4月より始まった「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーン2022/04/26
4月より改正されたくるみん認定の認定基準と新たな認定制度「トライくるみん」2022/04/19
4月以降の雇用調整助成金の特例措置と申請内容の確認強化2022/04/12
上期・下期で変更となる2022年度の雇用保険料率2022/04/05
育児休業を取得しやすい雇用環境整備における留意点2022/03/29
転職活動で約4割が求人サイトを利用2022/03/22
3月分以降の協会けんぽの健康保険料率・介護保険料率2022/03/15
シフト制で労働日や労働時間を決定・変更する際の留意点2022/03/08
定年再雇用時等に社会保険料の負担を軽減できる同日得喪の手続き2022/03/01
無用な解雇トラブルを防止するために知っておきたい解雇予告の注意点2022/02/22
引下げとなる2022年度の年金額と在職中の年金受給の在り方の見直し2022/02/15
新設された業務改善助成金(最低賃金引上げの助成金)の特例コース2022/02/08
36協定を遵守するための実務上の注意点2022/02/01
民間企業における障害者の雇用状況2022/01/25
今後数年のうちに施行される人事労務関連の法令改正2022/01/18
就業規則を変更した際の届出に係る適切な手続き2022/01/11

お問い合わせ
ご相談・ご質問、お気軽にお問い合わせください。
お電話でのお問い合わせ
045-641-6500
045-641-6500
受付時間 9:00〜18:00(平日)
メールでのお問い合わせ
お問い合わせフォーム